Atlassian Rovoの一般提供開始:人間とAIとの協働で組織の生産性を最大化

Atlassian Rovo と Atlassian Intelligence により組織内の知識を活用し、AI時代のあらゆるチームの成功を支援

2024年10月8日より3日間開催されているTeam’24 EUROPEにて、アトラシアンのAI戦略に関わる大きな発表がありました。

まずは、新AI製品「Atlassian Rovo」の一般提供開始です。また、アトラシアンクラウドプラットフォームを横断した総合的なAI機能「Atassian Intelligence」を活用した様々なアップデートがありました。このブログでは、Atlassian Rovoについてと、その他Atlassian Intelligenceによって新しくできるようになったことを紹介します。

Rovoの3つの特徴

Rovoは、企業向けに最適化されたAI製品であり、高度な検索、チャット、エージェント機能を備えています。この製品は、アトラシアン製品のみならず、主要なSaaSアプリケーションに保存されている情報をも対象に、必要なデータを的確に検索します。さらに、人間の思考や行動を深く理解した上での回答を提供することで、業務に必要な情報を迅速に把握し、即座に行動に移すためのサポートを行います。

1. 検索:Rovo サーチ

Rovoサーチは、JiraやConfluenceだけでなく、Google Drive、Microsoft Sharepoint、Slack、GitHubといったクラウドアプリケーション内の情報も網羅するエンタープライズサーチを実現します。日常的に使用するSaaSツールのデータを接続することで、Rovoはより多くの情報を収集し、学習を深めていきます。クラウドアプリケーションの普及に伴い、多種多様な情報が散在する現代、社員は情報検索に多くの時間を費やすようになっています。Rovoサーチは日常業務における情報検索を効率化するだけでなく、利用者にとって価値ある情報を提供することで、社員の生産性向上に寄与します。

Rovoサーチ

2. 学習:Rovoチャット

Rovoチャットは、従来の生成AIチャットとは一線を画す存在です。組織内の様々な状況で知見を提供するエキスパートとして、企業内の膨大かつ独自の情報を解析し、多様なタスクに対応します。これにより、迅速な質問対応やワークフローの効率化を実現します。例えば、プロジェクトの最新情報を取得したり、トラブルシューティングガイドにアクセスしたり、キャンペーンのパフォーマンスに関する洞察を得たりすることが可能です。また、キーワードや略語、その他企業特有の専門用語の概要を業務の流れの中で迅速に会得できるため、企業内の業務効率を飛躍的に向上させることができます。

Rovo Chatは組織内の大量のデータを収集、解析、学習することでより的確な回答を提供
Rovoチャットは文脈に応じた質問、回答を自動生成

3. 実行:Rovoエージェント

Rovoエージェントは、仮想的なチームメンバーとして機能し、より良い成果を達成するためのサポートを提供するAIエージェントです。これを業務フローに組み込むことで、作業時間を数時間から数日にわたって大幅に短縮することが可能です。

アトラシアンから提供されるエージェントの例

アトラシアンでは、標準で約20種類のエージェントを用意しています。また、パートナー企業が作成したエージェントはマーケットプレイスから利用が可能です。さらに、エージェントはお客様自身がノーコード・ローコードで開発することも可能です。

エンタープライズ利用を意識した高度なセキュリティ

生成AIを企業で利用する上においては、プライバシーと情報漏洩のリスクへ対処する必要があり、この点において本格的活用に踏み出せない企業もいるようです。

Rovoは、企業レベルでの利用を最初から想定しているため、そのようなリスクを低減するアーキテクチャを採用しています。そのため、セキュリティリスクを気にせずに企業内でAIをご利用いただくことが可能です。

  • プライバシー:お客様のデータは常にお客様の管理下に置かれます。Rovoはお客様の入力内容や応答を他のユーザーや組織と共有することはありません。
  • 情報保護:お客様のデータ、プロンプトおよび応答は、LLMのトレーニングや改善のために使用されることはありません。
  • 情報漏洩対策:LLMベンダーとはゼロデイ保持ポリシーを適用しているため、お客様のデータは保存されません。

Rovoのアーキテクチャ

Rovo は、AI 搭載の検索、チャット、エージェント機能を統合し、組織内の知識を大規模に活用することを支援します。また、Atlassian Intelligence を基盤として、Jira、Confluence、Loom などのアトラシアン製品全体で作業効率を飛躍的に向上させる新たな方法を提供します。

Atlassian Intelligenceの強化

AIを活用してよりスマートな作業を行えるよう、アトラシアンクラウドプラットフォームを横断して提供されるAI機能であるAtlassian Intelligenceに対して機能強化を行いました。

ソフトウェア開発

AIはソフトウェア開発の慣行を大きく変えつつあります。開発者は、プロセスやコラボレーションの非効率性により、週に8時間以上を無駄にしています(注1)。今日のAIはコードの補完を支援するという側面が大きいですが、開発の速度(ベロシティ)や品質を妨げる大半のタスク、たとえば、要件が確定していない段階でのタスクの開始、情報の検索、プルリクエストのレビュー待ちなどは対象としていません。アトラシアンは、開発者向けの新しいAIエージェントで、こうした状況をすべて変えようとしています。

  • 課題からプルリクエストまで、これまで以上に迅速に: AI エージェントは、タスクの説明、要件、組織全体のコンテキストに基づいて、コードプラン、コードの推奨、プルリクエストを Jira 上で自動的に生成できます。
  • プルリクエストのレビューの高速化: お気に入りのソースコード管理ツールから、AI 搭載のエージェントを使用して、コードを即座に分析し、改善が必要な領域の推奨を受け取り、プルリクエスト内でコード編集の提案を受けることもできます。
Autoreview – コードレビューの支援
  • IDEにコンテキストをもたらし、フローを維持: GitHub Copilot拡張機能で情報検索にかかる時間を削減します。 目標、チーム、プロジェクトに関する知識から、設計仕様、最近のデプロイ、未解決の問題まで、重要なコンテキストにIDEから直接アクセスできます。 Copilotの@atlassianとチャットするだけで、すべてにアクセスできます。
GitHub Copilotとの連携

この機能は、エンジニアリングチーム向けの早期アクセスプログラム(英語のみ)としてまもなくお試しいただけるようになる予定です。プログラムに関する情報をご希望の場合は、こちらよりご登録ください。

サービス管理

AIは、反復的なタスクの自動化、予測分析、仮想アシスタントの提供を通じて、サービス管理を効率化します。これにより労働コストの削減や迅速な問題解決が可能になります。Atlassian Intelligenceは、サービス管理ツールであるJira Service Managementに対してAIOps機能や自動化を強化します。これにより、サービス管理の高度化と効率化が見込まれます。

  • インシデントワークフローを高速化: Jira Service Managementの新しいAIOps機能では、AIが関連するアラートをグループ化し、重大なインシデントのみをハイライト、適切なリソースを提案し、詳細を要約して新しい対応者を即座に作業できるようにし、インシデントのタイムラインの重要なイベントを記録し、インシデント後のレビューを作成します。
AIによるアラートグループ化
  • AI による優れたサポートを迅速に提供: Slack でのサポートリクエストを自動化する Jira Service Management の仮想サービスエージェントと同じ機能が、ヘルプセンター、Microsoft Teams、メール、外部顧客サポート用の埋め込みウィジェットでも利用できるようになりました。

ベータユーザーからは「リクエストを自動化することで、仮想サービスエージェントは人間の関与なしにすべてのリクエストの15%を処理するようになり、その結果IT部門のSLA遵守率は90%から95%に増加したという結果がでています。

これらは、Atlassian Intelligenceの最新機能のごく一部です。アトラシアンプラットフォームに追加されるAI機能のすべてのリストと、組織でそれらにアクセスする方法の詳細については、機能概要ガイドをご覧ください。

アトラシアンの AI により、より良いチームワークが始まります

Rovo はAI 搭載の検索、チャット、エージェントを統合し、組織の知識を大規模に活用することを支援します。Atlassian Intelligenceにより、JiraやJira Service Managementはより使いやすくなります。アトラシアンが提供するAI搭載製品により、チームの可能性は無限に広がります。


注1:出典:State of Developer Experience Report 2024 (Atlassian)