2020年6月末をもって、「Enterprise Release (エンタープライズ リリース)」は「Long Term Support Release (長期サポート リリース)」に名称変更されました。詳しくは、こちらのブログ記事をご覧ください。
新しいバージョンへのアップグレードは、機能の追加や改善、不具合修正、セキュリティ対策を受けながら運用を続けて行くためには重要な作業ですが、該当のシステムに関係する様々な要素を考慮しなければならず、十分な戦略と見通しが必要となる大規模な取り組みです。
アトラシアンでは、長らくサーバー(オンプレミス)製品をリリースして参りましたが、その度にお客様からのフィードバックを真摯に受け止め、よりお客様にとって都合の良い方法で製品を提供できるように継続して取り組んできました。例えば、リリース頻度の変更やスターターライセンスなどの新たなパッケージ、Data Center製品などの新しいエディションの導入などです。その間、Jira Software やConfluenceに代表される製品は成熟し、お客様におけるデプロイメントもより大規模化、ミッションクリティカル化する傾向を見せています。
このようなお客様においてバージョンアップは、数週間から数ヶ月かかる場合もあります。製品としては、Zero Downtime Upgrade(英語) 等の機能提供によって少しでもその労力を軽減しようとしていますが、やはりバージョンアップ作業は複雑な取り組みである事に変わりはありません。
そのため、重要なバグフィックスやセキリュティ対策の適用を受けながらも、特定のバージョンをもう少し長く利用したいという要望を時折頂くことがあります。実は、これは既にプレミアサポートをご利用のお客様には実現できており、「プレミアサポート推奨バージョン」として、アップグレードを推奨する特定のバージョンを指定し、そのバージョンには重要な不具合修正などをバックポートしています。
同時に弊社としては、より品質の高い製品の改善をより早くお届けするために、今後サーバー製品においてさらに頻繁なリリースを計画しています。そこで、皆さまがユーザーのニーズに応えながらよりアップグレード計画をしやすくするために、包括的に製品リリースのやり方を見直すことに致しました。
最初に重要なこと:リリースに関する用語の定義について
これまで我々は、異なる種類のリリースを表すために、メジャー、マイナー、バグフィックス、プラットフォームなど様々な用語を用いてきましたが、混乱や誤解を避けるために、今後は下記の用語と定義に統一して各種コミュニケーションにて利用します。
Platform release: (例 Confluence 6.0) 重大または下位互換性のない変更を含む。例えば、既存APIの削除やユーザー体験の大きな変更、主要機能の変更や削除などがある場合。
Feature release: (例 Confluence 6.6) 新機能、機能変更、対応プラットフォーム(データベース、オペレーティングシステム、Gitのバージョン等)の変更または機能の削除などを含む。この種のリリースは、ほとんどの製品にて従来は「Major(メジャー)」リリースとして言及されていた場合が多い。
Bug fix release: (例 Confluence 6.6.2) 不具合修正、安定性やパフォーマンスの改善などを含む。既存機能についてのマイナーな変更を含む場合もあるが、新機能やリスクの高い変更は含まれない。お使いのバージョンにおける最新のバグフィックスリリースへの定期的なアップグレードが推奨される。従来この種のリリースは、いくつかの製品において「maintenance(メンテナンス)」リリースとして言及されていた場合が多い。
3つのリリースタイプに加え、特定のFeature release(フィーチャーリリース)が Enterprise release (エンタープライズリリース)として指定される場合があります。エンタープライズリリースに指定されたリリースは、標準的なフィーチャーリリースよりも長い期間バグフィックスの適用を受けます。
エンタープライズリリースとは
Jira SoftwareおよびConfluenceのサーバーとデータセンター製品向けに、「Enterprise release(エンタープライズ リリース)」という新しいコンセプトのリリースの提供を開始致します。エンタープライズリリース提供の目的は、常に最新のフィーチャーリリースへアップグレードせずとも、重大なバグフィックスの適用を受けられるようにすることです。エンタープライズリリースは、複雑な環境で運用をされており、アップグレードに十分なリードタイムが必要なお客様を意図して提供するものです。より頻繁にアップグレードして最新機能を享受されたいお客様につきましては、これまで以上の早さで頻繁にリリースを提供致しますので、最新リリースへのアップグレードをご継続ください。
最低でも1年に1つのフィーチャーリリース(例:6.6)がエンタープライズリリースとして指定されます。エンタープライズリリースの指定は、該当フィーチャーリリース時(例:6.6)に計画が発表され、後続のバグフィックス(6.6.2)リリース時に正式に宣言されます。このようなアプローチを採ることにより、お客様はアップグレード計画が立てやすくなります。
エンタープライズリリースは、サポート期間に関する変更はありません。Atlassian Support End of Life Policy(アトラシアンサポート終了ポリシー)に従来から定めされている通り2年間となりますが、特に大規模な環境で運用されているお客様には、エンタープライズリリースへアップグレード後は、そのタイミングによっては1年以上継続して同バージョンをご使用頂くことが可能です。現在プレミアサポートをご利用頂いているお客様にとっては、新しく提供を開始するエンタープライズリリースが「プレミアサポート推奨バージョン」の代替となり、今後はプレミアサポートのお客様向け特定リリースの提供はありません。
エンタープライズリリースの特徴
各エンタープライズリリースには、下記が含まれます。
- セキュリティバグフィックスポリシーに定義される、セキュリティバグフィックスのバックポート
- 弊社がクリティカルと見做したバグで、通常は次のバグフィックスリリースで修正される類のバグフィックス。一般的には、信頼性、データの完全性、中心的な製品機能に不具合が発生する様なクリティカルなパフォーマンスに関する課題の修正等。
- 前回のエンタープライズリリースからの変更履歴。
- 以前のエンタープライズリリースと比較したスケール及びパフォーマンスベンチマーク。
場合によっては、その複雑性や影響範囲の大きさから、特定のバグフィックスのバックポートが不可能になる可能性があります。例えばライブラリ(Confluence で使用されているキャッシングライブラリ Hazelcast や、 Jira で使用されているインデックス型全文検索ライブラリLuceneなど)のアップデートや、キャッシング、インデクシングに関するアーキテクチャの大幅な変更などです。加えて、APIに影響を与える修正やサードパーティーのアプリケーションに利用されているコードの変更を必要とする修正なども、バックポート非対応となります。これらの修正は、プラットフォームリリース(例:8.0)にて対応します。バグフィックスのバックポートが不可能な場合は、その理由と共に代替策をお客様にご提示します。
さらに、Jira Software Data Centerの Zero Downtime Upgrade (ZDU)は、バグフィックスリリース間のアップグレード(例:7.6.5から7.6.6)では継続してサポートされますが、フィーチャーリリース間については、1つのエンタープライズリリースから次のエンタープライズリリースへのアップグレード時のみサポートします。しかし、あるエンタープライズリリースから次のエンタープライズへのアップグレードであっても、パフォーマンスや信頼性を改善するためにZDUのサポートが出来かねる場合もあります。ZDUの目的はアップグレード時に必要な計画的なダウンタイムを極力減らすことですが、パフォーマンスや信頼性の改善が必要とされる場合は、そちらが優先されます。ZDUの非対応については慎重に検討し、お客様のニーズに合わせた適切なトレードオフ判断をするように努めます。
最後に、この変更に合わせてJira Software 及び Confluence Serverの非エンタープライズリリースについてのSecurity Bug Fix Policy を更新致します。Jira Software Server とConfluence Serverがより早いリリースサイクルへ移行する事に伴い、critical vulnerabilities(重大な脆弱性)に関する修正のバックポート対象となる旧フィーチャーリリースについて、それが非エンタープライズリリースである場合には、当該修正のリリース日から遡って6ヶ月以内にリリースされたフィーチャーリリースに変更されます。ただし、重大な脆弱性に関する修正は、サポート期間中にある全てのエンタープライズリリースにバックポートされます。
今後の予定とお問い合わせについて
Jira Software 7.6 および Confluence 6.6を最初のエンタープライズリリースとして指定し、正式にエンタープライズリリースとして宣言するリリースとなるバグフィックスリリースを準備しています。準備が整いましたら、Jira Software 7.6 と Confluence 6.6 のリリースノートと、メールを通じてご案内する予定です。
本件に関するご意見やご質問については、お問い合わせフォームからご連絡ください。