Jira Software を使ってプロのようにバックログの手入れをしましょう

チケットを作成してもらえればバックログに入れておきますので。

こんな言葉をこれまでに何度耳に、または口にしてきましたか?

プロジェクト、リクエスト、バグは簡単にバックログに山積みになってしまい、すぐにそもそも何のためのチケットだったかさえ思い出せなくなってしまいます。またバックログの中身に何から手をつけるかの優先順位を付け、どのチケットが他よりも重要かを比較してより分けることさえも不可能に思えます。この記事では、バックログに足を引っ張られるのではなく活用するために今すぐできる3つのことを取り上げます。

この記事の内容:

  • チームとバックログの足並みを揃える方法
  • Jira Software を使ったバックログ管理方法
  • 相対サイズ見積もりを使ってプランニングをより早く行う方法

チームの協力を得る

一人でバックログと格闘することは不可能なので、バックログ内の問題に対してはチームの協力を確保することが非常に重要です。

「目指すところは、長々と引き延ばされる内容のない会議から、効率的な業務割り当て、優先事項への対処、全体像を理解するために協力できるチームへと移行することです」– Spartez社開発マネージャー、Grzegorz Majchrzak氏

あなたのチームの幅広い役割、チームメンバーの持つ優先順位、持っているスキルセットについて考えてみましょう。チームメンバーは皆、違う形でバックログ業務に価値を見いだすでしょう。例えばあるエンジニアは新機能を作ることについてワクワクするでしょうし、あるQAエンジニアは着々と積み上がるバグの山に対処してもらいたいと願うでしょう。

チームメンバーがそれぞれ自分の持つスキルを使い、目標に対する最重要事項に集中できるように全員をまとめ上げることが、チームのリーダーとしてのあなたの仕事です。ある種類のタスクが他よりも重要であるということは決してないことを忘れないでください。それは手がける製品ごとに変わってくるのですから。

あなた自身の持つ先入観にも注意してください。あなたにもきっと、問題の優先順位の付け方にも特定の傾向があるに違いありません。

全員の意見に耳を傾けるために、技術的負債、新機能、バグという特定のカテゴリーのそれぞれに割り振る時間について合意を得ましょう。私たちのチームでこれをやり始めた時、バックログには何百というアイテムがありましたが、この優先順位付け方法は私たちにとってはうまくいきました。

手持ち時間の割り振りは以下の通り:

  • 手持ち時間の70%: 新機能
  • 手持ち時間の15%: バグ修正
  • 手持ち時間の15%: 技術的負債

プロからのヒント: 割合が高いアイテムは常に割合が低いアイテムを圧倒してしまう傾向があることを私たちは発見しました。そこで、スプリントの初期に割合の低いものから取り組み始め、新機能のリリースは後期へと回しました。また、全員の気分をよくして生産的にするという意味でも、スプリントの初期に手早く成功を収めておくことは悪いことではありません。

バックログの手入れにJira Softwareを取り入れる

あなたも同じかもしれませんが、私たちも作業のすべてをJira Softwareで整理しています。

私たちが最も役立つと感じたワークフローは、クリエイティブな考え方が多少必要となりますが、すばらしく効果があると思います。私たちのやり方は次の通りです。

  • チケットを技術的負債、バグ、機能リクエストなどのようなカテゴリーに分類します。各カテゴリーに対し、フェイクのスプリントを作成しますが、開始することはしません。それらは視覚的なガイドとしてのみ使用します。
  • その後、膨大なバックログから特定のカテゴリーへと問題を移動させ始めます。「バックログ」自体は製品マネージャーの手元に残しておきます。
  • スプリント作成時には、移動させた問題を対応するスプリントに落とし込み、必要なストーリーポイントを見ていきます。

このシステムのすばらしい点は、各カテゴリーにどんな問題があるかを見てとることができることと、問題が溜まってきたら気づくことができることです。またこの方法なら、機能リクエストとバグ・技術的負債との間で重要度を比較する必要もありません。それぞれのカテゴリーの中で、各アイテムを比較すればいいのです。もし各カテゴリー内のアイテムが増えつつあるなら、時間の割り振りの割合を調整する必要があるということかもしれません。

相対サイズ見積もり、相対的質量評価

相対的質量評価は相互に関連する形で大量のストーリーを素早く見積もるための方法です。このプロセスは私たちにとってはプランニングポーカーよりも早く、Tシャツサイズ見積もりよりも具体的でした。また、私たち独自の調整もいくつか加えました。私たちの踏んだステップは次の通りです。

  1. 大きなテーブルに集まります。
  2. Jiraからカードを印刷します。カードの大きさと印刷する内容は自由に選ぶことができます (この作業はAtlassianマーケットプレイスアプリを使って行うこともできます)。
  3. スクリーンからしばし離れ、手作業でカードを切ります。
  4. その紙片をテーブルの周りの人々に配布します。誰にどのカードが配られてもかまいません。
  5. テーブルを尺度として、カードを1枚テーブルに置きます。(例えば、テーブルの一番上には「最も難しいこと」を、一番下には「最も簡単なこと」を配置します。)
  6. 2枚目のカードの番になったら、「これはさっきのタスクよりも簡単か、難しいか、それとも同等か?」と尋ねます。その後のカードでも同じことを繰り返します。
  7. 労力にはっきりした差異が存在するところに、線を引きます。
  8. ストーリーポイントを割り当てます。

手短なチュートリアル動画をこちらに用意しました。

「ただスクリーンを見ているだけでは、集中力が切れて次にしなければならないことを考え始めてしまいやすいものです。カードが目の前にあれば、思った以上にそのことに集中することができます」
– T-Mobile 社のアジャイルコーチ、Stephen Costanzo氏

プロからのヒント: 各スプリントのカードを保存しておき、正確に測れているものはどれかを評価します。その後、それを将来のプランニングの基準値として使用しましょう。

まとめ

健全なバックログを持っているということは、健全なチームを持っているということを意味します。期待されるものがはっきりしていて、期待値を高く保つのに役立つツールがあり、全員が一端を担える程度に負荷の軽いプロセスを持つチームを。

「チームに力を与えること」を常に忘れないでください。プロセスは完成品に負けず劣らず重要です。

この話はAtlassianサミット2017にて披露されたものです。カルロス氏のプレゼンテーションをフルでお聞きになりたい場合はこちらをご覧ください。