フィックスト・マインドセット (固定的な考え方) の対極に位置する グロース・マインドセット (しなやかな考え方) という概念があります。これは最近人気のテーマであり、私はときどき自分に向かって「グロース・マインドセットを持たなければ。グロース・マインドセットは素晴らしい」と言い聞かせています。なぜでしょうか? それは、私たちが何をしようとするときも、特に仕事において、グロース・マインドセットと呼ばれる考え方が私たちを成長する助けになるからです。私たちは成長するにつれ生産的になります。そして私は自分が生産的になるほど気分が良くなります。私の言いたいことが分かりますか?
私は笑顔で帰宅できないことがよくあるのですが、それは グロース・マインドセット がうまくできなかったり、うまく保てなかったりすることが原因だと考えています。そこで私は、固定的な考え方になっている瞬間を反省するためにこの記事を書くことに決めました (みなさんもきっとそのような瞬間があることに気付くでしょう)。そして対処法を共有したいと思います。脳がフィックスト・マインドセットに戻っているとき、うまくそのような瞬間に気付くことができるようになれば、自分自身をしなやかな方へ戻すことができ、最終的には物事がさらにうまくいくようになります。
フィックスト・マインドセット と グロース・マインドセット の違いを、シンプルなイラストで説明します。
この概念は私に特別な感情を引き起こさせます。私は何かに挑戦するとき、課題に直面し立ち止まるより前にフィックスト・マインドセットになってしまうことがよくあると気付いたからです。このような行動は、ロッククライミングや柔道、カイトサーフィン (これらは私がマスターできなかった多くのものの一部です) に関しては別に良いのですが、仕事となると問題です。
Challenges (課題)
私が正しい考え方をしていなかったときの例を紹介します。それは Java 学習です。私は大学で少し Java を勉強しました。そして私はほとんどすべての役割において Java で仕事をして (JIRA Software 開発者としての現在の仕事も含みます)、今でも理解しにくいと思っています。
私はコーディング上の難しい問題に直面すると、その問題が解決不可能、あるいは自分には解決できないと結論付けるまで、1 つの観点から何度も取り組もうとする傾向がありました。そしてお手上げになってやめてしまいます。言い換えると、私はフィックスト・マインドセットになって諦めることで問題から逃げていたのです。
そのため最近はそのような逃避を認識し、一歩立ち戻り、グロース・マインドセットについて考えるようにしました。準備ができると、他の方法が見つかるまで問題解決の新しい観点を探しながら、もう一度少しずつ問題に取り組んでいます。そして私の場合は、このステップを頭の中ではなくはっきり口に出して言うことがいつも役立っています。私はヒントが浮かぶとそれを書き留めています。そうするとすぐに (やや奇跡的にも) 問題の根本的原因が見えてきます。
Obstacles (障害)
私が障害にぶつかったときの最初の衝動は、自分の注意をすぐに他の何かにそらしてしまうことでした。私は上の図のようにすぐに集中力を失いました。ブラウザの面白そうなブックマークをクリックしたり、コーヒーを買いに出かけたり、他の何かをして嫌なことに取り組むことを遅らせたりしていました。ある同僚がこれを「手軽に満足したいサル症候群」と呼びました。その概念は実際のタスクが急に難しくなったとき、特に、誘惑するものがたくさんあるとき、たとえば記事や動画、メール、ソーシャルなどクリックするだけで注意がそれるものがあるときには、目の前のタスク以外の何かに手を出してしまうことを表しています。
「禅とオートバイ修理技術―価値の探求」の中でロバート・M. パーシグは、「やる気をなくす罠」について書いています。それは、やるべきことがあると分かっているのにやる気がおこらない現象です。彼の解決法は、立ち上がって、やる気をなくさせるプロジェクトから手をはなし、歩いて離れ、やる気が起こったら戻ってくるというものです。確かにこの方法は仕事で取り組んでいるプロジェクトにおいていつも使えるとは限りませんが、何が起こっているか (逃避して集中力が落ちていること) を認識することが気持ちを取り直す助けになっており、そして大抵は罠から解放されて、プロジェクトで 1 つ以上の作業を行う程度のやる気を取り戻します。そしてさらにもう 1 つ、さらにもう 1 つと続きます。結局、十分な勢いが付いてやる気を取り戻すのです。
Effort (努力)
サイクリングで同じような経験があります。時計のアラームが午前 5 時に鳴ると、私は自転車で出かけるのが嫌になります。ベッドにいたい衝動がどんどん強くなり、手軽に満足したいサル症候群になりますが、この気持ちは長く続かず、いつも後になって罪悪感にかられることも知っています。古いですが「苦は楽の種」という言葉は正しく、これは純粋なグロース・マインドセットなのです!
起床して自転車に乗る朝は、気分は良好です。確かに大変ではありますが、良い気分というのはすぐに手に入るものではありません (たまにはそういうこともありますが)。しかし、サイクリングを終えて良い気分を味わうと、私の心は以前よりも強くなります。私は自分に自信を持ち、さらにもっと進むことができるのです。
自分がスヌーズボタンに手を伸ばしていることに気付くと、私はそれらのことを考えます。意識的に手を止めるように努力し、グロース・マインドセットについて考えます。私は自問します。自分が本当にしたいことは二度寝なのか? そんなに簡単に諦めてしまうのか? シャワーで流したいのは後悔の念なのか、それとも達成感の汗なのか? さあ、答えは明らかです。
Criticism (批評)
自分の毎日を振り返り、自分の行動を評価することも有益だと思います。最初に書いたとおり、私は最終的には自分の気分に基づいて自分の生活を判断することがよくあります。私にとって最悪なのは、物事を整理できず、先延ばしにして時間を無駄にして、ポジティブに振り返ることができない自分に気付くときです。
そこで私は 2 つのことを自問するようにしました。
- 1 日で最も良かったことは?
- 何が間違っていて、それがまた起こらないようにするにはどうしたら良いか?
これらの質問は、良いことも悪いことも生活のあらゆる面に集中する助けになり、より良い生活を送るための方法を身に付ける助けにもなります。
さらにこのような種類の質問により、同僚からの批評に対処しやすくなることも分かりました。彼らの批評が正しいと仮定すると (実際いつも正しい)、私は少し自分を振り返ることができます。
- 自分の仕事で一番自信があるのはどの部分か?
- 一番自信のない部分を向上するために何ができるのか?
それは成長の暗い面だと私は思います…
成長するときに少しの失敗はつきものである
Success of others (他人の成功)
これまでに私が一緒に仕事をした最も賢い人の何人かがアトラシアンにいます。しかし私はいつもこのように考えていたわけではありません。
私は長い間、成功していて知性もあると思われる人に対してすごく嫉妬していました。しかし、当社の開放的で公正な文化のおかげで、私は自分の仕事が同僚の仕事とどのように関連しているのか、そして、それらが一体となってどのように素晴らしい物を作るのかを理解できるようになりました。
以前の私は賢い人たちを敵だと思っていましたが、今では彼らのことを学習意欲を持つ熱心な同僚だと考えるようになりました。これまでは成功しているマネージャーを見ていた (そして嫉妬していた) ところを、今では自分の能力を補うスキルを持つ同僚を見るようになり、彼らと一緒に毎日の仕事に最善を尽くしています。これが究極のグロース・マインドセットです。フィックスト・マインドセットでは他人の成功が驚異に見えますが、グロース・マインドセットは同僚の成功を見てやる気を起こさせてくれるのです。ほら、素晴らしいと言いましたよね。
レビュー中にアトラシアンの同僚と 1 対 1 で交わすオープンで率直な会話や、廊下での気軽なやり取りさえも、私の中で考え方に変化を起こす助けになりました。アトラシアンでは素晴らしいことに、文字通り会社内で全員がやり取りできるからです。
会社を開放的で信頼できるレベルに改造することは不可能かもしれません。しかし、グロース・マインドセットの概念で同僚同士のやり取りに影響を与えることがすごく難しいというわけではありません。私たちは求められていると思われるレベルよりも、または以前の自分たちよりも、さらに透明で協力的になることができるのです。言い換えると、私たちはさらに前進することができ、賞賛に機敏で批判に愚鈍になることができるのです。私たちは何よりもまず理解しようとすることができるのです。
仕事や仕事外でも成長する
私はこれまで頻繁にフィックスト・マインドセットになっていたことに後ろめたさがあり、今ではそれを変えるようにしています。知識や成果というものは、一生懸命働くことで得られるものであり、それを避けていては得られません。私たちが生活している社会では、簡単に満足したいサルが全員の肩に座っています。しかし、決意や努力の結果として得られる喜びは、悪魔のサルがもたらす喜びよりもずっと上回っているものです。グロース・マインドセットのような正しい考え方が、大局的に物事を見るのに役立ちます。
皆さんにとってこれらは明らかなことかもしれません。もしそうなら皆さんはラッキーです。私の場合、時間を取って自分の行動を評価することは、仕事で道からそれないようにするための非常に効果的な方法だと分かりました。私は集中力が切れていると感じるとき、辛抱さえすれば、短期的な欲求不満がきっと長期的な能力改善になると考えるようにしています。グロース・マインドセットで私はさらに創造的で前向きになり、さらに成果を出して、さらに高い目標を設定できるようになっています。
グロース・マインドセットを維持するための私の考えを紹介しました。皆さんの意見をコメントで共有して頂けるのなら、私は他の方がこのような課題にどう取り組んでいるのかを知りたいと思います。ご精読有り難うございました!
*本ブログは Atlassian Blogs の翻訳です。本文中の日時などは投稿当時のものですのでご了承ください。
*原文 : 2015 年 11 月 12 日投稿 "Perseverance, gumption traps, and maintaining a growth mindset"