弊社アトラシアンは、2023年6月13日〜14日に開催されたガートナー アプリケーション・イノベーション & ビジネス・ソリューション サミット(以下、AIBS)に出展しました。当ブログでは、2日間の展示内やブースへお越し頂いた来場者の皆様とのお話を総括いたします。
同イベントの公式サイトによると、テーマは「ビジネス価値を高めるソフトウェア・デリバリへと刷新せよ」。絶え間ないテクノロジの変化の波に飲み込まれるのではなく、こうした変化を有効活用して、ビジネスを成功に導くアプリケーションのデリバリ・スキルを構築するためのにはどうすれば良いかといった情報が詰まった2日間で、出展されていた各企業は、自動化、可視化、アジャイル開発などを主軸に様々なソリューションを展示されていました。
そんな中、弊社アトラシアンは「企業のアジャイル・トランスフォーメーション」を実現する様々な製品をご紹介する形でブースとオープンシアターセッションを、1日目・2日目ひと枠ずつという形で参加いたしました。
ブースの現場を通して
2日間の会期を通して、非常に幅広い業種の、現場のご担当者から責任者まで、ソフトウェア・デリバリに関わるさまざまなお立場の方が参加されていた印象でした。弊社のブースでお聞きする話題はやはりアジャイル開発に関わるトピックが多かったのですが、「現時点ではウォーターフォールで稼働しているプロジェクトが大半であるが、これからアジャイルも増えそう」という方や「既にアジャイルを実践しながら幾つかツールを試しに活用し始めている」「アトラシアン製品を利用中」といった方もいらっしゃいました。
ソフトウェアやアプリケーション開発がテーマのイベントということもあり、開発手法、ツール選定、導入に関するご質問、ライセンス、日々の業務の課題まで多様なお話をお伺いする事ができました。
ご来場者に協力頂いたアンケートボード
さて、こういったイベントではブースにいらっしゃる方々も、なかなか最初にスタッフに声をかけづらいのではないかと思います。実はブース担当も同じ気持ちでして、アンケートボードによる投票で、皆様の抱える課題をお伺いすることにしました。
質問はシンプルに
「ビジネス価値を高めるソフトウェアデリバリーの実践にあたって今最も課題に思っていることは何か?」
という問いに対して5つの選択肢+自由記入形式でコメントを頂きました。選択肢とそれぞれの分布は下記の図とグラフをご覧ください。
一目瞭然ですが、「組織・文化に課題を感じる」を選択された方が2位以下を大きく突き放した結果となりました。続く2位は「コミュニケーション」となっており、「技術的な課題もあるが、その前提となる組織やコミュニケーションに課題がある」というコメントが非常に多いのが印象的でした。ここでいう組織・コミュニケーションとは、勿論回答いただいた皆様によって少しずつ解釈は異なるものの、ソフトウェアのデリバリーというお題の中においては「上層部と現場の齟齬」「部門間の横連携」「異なる職種同士の意思疎通や合意形成」にまつわるお話が多く、数名の方が「アジャイル、DevOps、ツールの課題もあるが、組織とコミュニケーションの課題を先に解決したら前者の3項目の解決も進みそうな気がする」というご意見があったのも興味深いポイントでした。
ブースへお越しいただいた方の生の声
「従来の品質保証のプロセスや工程の変化が社内で受け入れられない」 「異なる部門にまたがる意思の疎通が出来ていない」 「昔アジャイルで失敗して以来、承認されたプロジェクトにしか、アジャイル開発を採用できなくなってしまった。もったいない。」 「上層部の理解が不十分」 「部門間の連携はあるが、経営層との認識が一致しない」 「会社の組織体が大き過ぎて、スピード感が不十分」 「定量的なKPIのみでアジャイルを進めると、(評価すべき現場の努力を汲み取る点で)取りこぼしが出るリスクがあるので、工夫が必要」 「グループ一丸となってアジャイルで素早く進めたいが、開発子会社と親会社の間の契約が足かせになるリスクが有る」
オープンシアターセッション
「成功する企業は知っている、正しくアジャイルを実践するための要諦」と題して、アジャイルの基本理念に忠実に、企業全体を巻き込んだソフトウェアデリバリーを実現する重要性についてと、その実現を支援する弊社ソリューションの概要について、オープンシアターにてお話させていただきました。
かいつまんでその骨子をお伝えすると、アジャイルで重要なのは徹底した顧客主義であり、顧客を中心として捉えた場合に、事業活動に関わる全ての部門が連携し、マーケティング、イノベーション、デリバリーのサイクルを高速にまわし、顧客からのフィードバックを再度そのサイクルに反映していくことで、ビジネス価値を高めるソフトウェア・デリバリが実現できるという内容です。
アトラシアンでは、事業活動における組織機能それぞれを支援するJira製品を提供しており、それらが共通のクラウドプラットフォーム上に構築されているため、データの集約と分析、自動化、AI等の機能を活用して、それぞれの組織は目の前の業務に集中しているだけで、自動的に事業全体のサイクルの高速化が実現できます。
お陰様で、セッション会場の席は両日とも満席となり、ありがたい事に立ち見で聴講頂く皆様もたくさんいらっしゃいました。
中には、弊社のメッセージである「組織全体でアジャイル化しないと真のアジャイルは実現しない」というメッセージに共感いただき、わざわざセッション後、弊社ブースにいらしてコメントしてくださった来場者の方もいらっしゃいました。
総括:「じゃあ、どうする?」
アンケートを通じて、皆様の課題が組織やコミュニケーションに集中している事実を知り、来場者とのお話を通して、様々な現場の実情に触れることができました。製品へのご質問やトライアルのご検討など、アトラシアン製品に関心をお寄せくださったお客様もたくさんいらっしゃいましたが、同時に「ツールというものはただ導入しただけでは何も変わらず、利活用する側も新しい働き方、文化、仕組みを導入し、ツールとの両輪で変革を進めていく必要がある」という話をお伝えしたところ、共感くださる方が多くいらっしゃいました。デジタル化やイノベーションは多くの経営者の関心事かと思いますが、そのために技術やツールの導入がゴールとして議論されがちです。変革の目的に関する共通理解や、ツールを活かすための文化なくして変革の成功はありえません。
この点において、弊社では、Team Playbookという実践方法を複数種類公開しており、「ツールを提供して終了」ではなく、どのように新しい文化を定着させたり、より深く高度なツール活用につなげていけるか、といったところまで自社の経験とお客様へのコンサルテーションを通して検証し、選りすぐりの方法論としてまとめています。この実践方法は全て無償公開しており、手順ひとつひとつを細かく解説し、円滑に進める際に推奨されるツール(もちろん、ツールは何でも良いのですが)なども含めて提示しておりますので、もし何か活用できそうなものがありましたら、積極的に参考にして頂ければ幸いです!
最後に、現在このTeam Playbookを活用した新しい取り組みも企画中です。こちらは準備が整い次第ご案内したいと思いますので、ぜひ引き続き弊社からの発信にご注目ください!