9月に開催されたAtlassian Community Eventでの盛り上がりをきっかけに、日本語でのJQLについての解説を増やすべく始まったこの連載ですが、最終回となる今回は「フィルター」と「サブスクリプション」を取り上げます。なお、これまでの2回では下記内容をカバーしました。
- 第1回: Jiraでの検索の概要とJQLの基礎
- 第2回: 関数、変更履歴、並び替えを活用
JQLを初めて使う、あるいは使い始めたばかりという方で、上記の記事をまだご覧になっていない場合は、先にこれまでの回をご確認ください。JQLの取っ付きづらさが和らぐと思います。
さて、今回取り上げる機能はいずれも、Jiraで頻繁に課題を検索するユーザーなら便利に感じていただけるはずです。では、まずはフィルター機能から見ていきましょう。
フィルター: 検索の保存
検索条件を「フィルター」として保存することで、次回以降、再度同じ作業を行う必要がなくなります。クエリを実行して必要な結果が得られることが確認できたら、ページ上部の「別名保存」をクリックし、フィルターに名前をつけて保存します。
フィルターを作成するとデフォルトで「スター」が付き(お気に入り的なフラグです)、検索画面で左に表示されるメニューの「スター付き」の下に表示されます。もし誤ってスターを外してしまった場合は、同じメニューの一番下にある「すべてのフィルターを表示」から、フィルターの検索画面に移動して探すことができます。
フィルターの共有と公開範囲
作成したフィルターを共有することができます。ページ右上にある「共有」をクリックすると、そのフィルターへのリンクをコピーしたり、チームメンバーに送るウィンドウが表示されます。ユーザー名かメールアドレスを入力して「共有」をクリックすると、共有先にメールで通知が送られます。
また、ページ上部にある「詳細情報」をクリックすると、表示しているフィルターの公開範囲を設定する「権限」と「サブスクリプション」を設定するメニューが表示されます。ここで公開範囲に指定したメンバーが該当するフィルターを利用することができます。サブスクリプションについては、次のセクションで詳しくご紹介します。
サブスクリプション: 気になる課題の最新状態を常に把握
Jiraでの「サブスクリプション」は、決まったスケジュールで定期的にクエリを実行し、その結果をメールでユーザーや必要とするグループに送信する機能です。進捗を把握しておきたい課題がある場合や、重要な課題が作成された際にすぐに把握したい場合などに役立ちます。デフォルトでは、クエリで対象となる課題がない場合、メールは送信されません。
ここで、アトラシアンでテクニカルアカウントマネージャーを務めるDan Radiganによるサブスクリプションの活用方法をご紹介します:
- 重要な課題のステータスをモニタリング
チームメンバーが優先度の高い課題チケットを起票した際、これらの課題を検索するクエリを作成し、15分ごとにメールが送信されるようサブスクリプションを設定。そしてSLAを確実に守れるよう、課題をチームに割り当てるそうです。 - 新規作成された課題を確認
常に新しい課題を把握できるよう、その日に作成された課題を検索するクエリを作成し、毎日通知するサブスクリプションを設定しているようです。
なお、Jiraからサブスクリプションのメールが届くと、件名の冒頭に「[Jira] 配信登録」と付いているので、これを使ってメールを専用フォルダに振り分けることもできます。
開発者向け: REST
ここは必要(になりそう)な方だけ、ご確認ください。REST APIの序盤にのみ触れます。
Jiraは、外部からJiraの課題データにアクセスするためのREST APIを備えています。これにより、異なる課題トラッカーからデータを引き出して処理したり、課題のコメントだけ抽出するなど、Jiraのデータ活用の幅が広がります。
このREST APIのコマンド内でJQLを使用できます。例えば、プロジェクト「Pipeline」で重複している課題を、REST APIで呼び出したい場合、MacかLinuxワークステーションのターミナル(Windowsの場合はcurl)で下記コマンドを入力します。
curl https://jira.atlassian.com/rest/api/2/search?jql=project=pipeline%20and%20resolution=Duplicate
「?」以降の部分がJQLになっているのにお気づきでしょうか。
ちなみに、結果はJSON形式で返されるため、取得後のデータの処理や操作を簡単に行えます。
このブログはJQLをはじめて使う方に向けたものになるので、REST APIについてはここで切り上げます。詳しく知りたい方は、英語になりますが、こちらのドキュメントをご覧ください。
最後に
ここまでご覧いただき、ありがとうございます。先の2回に続き、今回の記事も見ていただいた方は、Jiraの検索機能の便利さを実感し、JQLに慣れていただきつつあるのではないでしょうか。このブログ連載をきっかけに、JQLの活用が進めば非常に嬉しく思います。