本ブログは、こちらに掲載されている英文ブログの翻訳です。万が一内容に相違がある場合は、原文が優先されます。
Gigi Griffis
Content Strategist & Copywriter
Flexera社が行なった調査によると、回答企業の61%が今年、より多くの業務をクラウド環境に移行する予定だとしています。これらの企業の中には、既にクラウドへの移行を行なったことがある企業も、初めて移行を行おうとしている企業もあります。
では、初めてクラウド移行に取り組もうとしている企業は何を知っておくべきでしょうか。クラウド移行経験のある企業が、未経験企業に贈るアドバイスには、どういったものがあるのでしょうか。経験者の回答から学びましょう。
アトラシアンでも、これまで携わった数多くの移行案件を通していくつかのポイントが見えてきました。以下に、移行経験者の語る「移行前に知っておきたかったこと」を紹介します。
1. アプリやワークフローを変更する必要がある
クラウド版とオンプレミス版でアプリが同じように動作し、移行後もこれまでと変わらずにシステムを使い続けられることもあります。ただし多くの場合、クラウド版とオンプレミス版ではアプリに違いがあることに気づくはずです。アトラシアンでは、Jiraのロードマップ機能やJira Automation、Confluenceのテンプレートの改善など、ここ数年でサーバーにはない機能をクラウド製品に搭載してきました。
Marketplaceでアプリを提供するパートナーも、クラウドアプリに新機能や改善を実装しており、お客様のクラウドのサイトはサーバーインスタンスと全く同じものにはならないでしょう。こうした背景から、スムーズなクラウドへの移行に向けて準備すべきことの一つに、ワークフローがどう変わるかを把握することがあります。
お使いのサーバー版アプリがクラウド向けにも用意されているかを確認する場合、Jira Cloud Migration AssistantやConfluence Cloud Migration Assistantを利用するのが一番簡単です。それぞれのAssistantにはアプリの確認機能が組み込まれており、お客様のチームがどのアドオンを利用しているのか、そしてそのアドオンがクラウドでも利用できるかを表示してくれます。これは下記を行う上で役立ちます:
- 移行の計画
- 優先すべき事柄の把握
- トレーニングや資料の必要性を予測
- プロセスやワークフローの改善
Migration Assistantの最も良い点は、前もって変更箇所を把握できることで、これにより、移行前に新しいワークフローを確認し、それに合わせてチームを最適化することができます。これは、新しいシステムのよりスムーズな受け入れや、より高い生産性、移行後のサポートチケット削減につながります。
アトラシアンおよび他ベンダーのアプリを移行する際に重要となる2つ目のポイントとして、移行前の予定にテストを含めることです。もし移行作業をベンダーに依頼する場合、適切なベンダーであれば、移行のテストや新しいアプリやワークフローをユーザーに試してもらう期間を組み込んでくれるはずです。この結果、移行後の障害を事前に取り除くことができます。
また、テストのフェーズでは、新しいシステムを使う予定のある、すべてのチームからテスターが参加するようにしましょう。移行前にそれぞれのチームが新しいワークフローを一通り試し、問題を洗い出します。
2. 新しいシステムの受け入れには時間がかかる
良い計画と早めのトレーニングにより、チームが新しいシステムを習得する時間を短くすることができます。それでもなお、慣れるまでは時間がかかるので、移行計画にはこの点を盛り込むべきです。移行後数週間は、ヘルプデスクは普段より忙しくなるかもしれません。一時的に業務効率に影響が出るのは普通です。適切な計画と準備を行なっていれば、チームはすぐに、それまで以上にコラボレーションしながら業務に取り組めるようになるでしょう。
また、移行の規模が大きいほど、これが影響します。2,000名規模のユーザーを新しいシステムへ移行するのは、10〜20名、あるいは100名規模のケースよりずっと長期のプロセスとなります。このため、大企業はよく、ユーザーを数回に分けて移行する方法を採ります。
3. 最良の移行は順を追って進む
あるチームが遅れていたり、チェックリストのアイテムの一つに手こずっている場合、それらを飛ばして先に進みたくなることがありますが、この衝動は抑えましょう。
移行の手順がこの順番に並んでいるのには理由があります。先に進む前にセキュリティや法務に確認するのには理由があります。データやユーザーの移行のテストを前もって行うのには理由があります。セキュリティや法務からの承認や、計画の前段階にあるタスクを終わらせずに進めると、後に支障や重複作業が発生する可能性は爆発的に大きくなります。
一定の計画やテストは並行して行うことができるものの(例: セキュリティチームが要件を確認する間にアプリを評価する)、セキュリティの確認といった煩わしいステップ全体を飛ばすと、後に頭痛の種となります。もしセキュリティチームのスケジュールが煩雑であるためにこの手順を省こうとすれば、後に公開の準備ができたと思った時に、そのことが障害になるかも知れません。これは法務やコンプライアンス、その他、プロセスに含まれるすべての関係者についても同様です。
改めてまとめると、これまで経験した最もスムーズな移行はいずれも、準備作業を飛ばすことなく行い、完璧に計画に従っています。
4. 移行はプロセスを見直す絶好の機会
もし移行によってチームの働き方が変わるのであれば、あらゆるプロセスを最適化する機会にしましょう。この移行によってユーザーが新しいやり方を習得しなければならないのであれば、ワークフローの見直しを1年後に先送りするのではなく、この機会に移行とまとめて行うことで、ユーザーに再び新しい手法を学び直してもらう必要がなくなります。
移行前の計画の段階で、次のような視点でワークフローを戦略的に見直すための時間を取りましょう。
- 何が機能していて、何が機能していないのか
- 何を改善できるか
- 引き続き必要なデータは何か、システム容量を食うだけで使われないデータは何か
- 何年も使われていないカスタム機能はないか、リクエストにより導入したものの無駄になっている機能はないか
- 自動化できる点はないか
- 新しいシステムに組み込むことで、チームのタスクリストから外せるものはないか
ワークフローの自動化や改良で省ける無駄は色々ありますが、一番大きいのはコスト削減ではないでしょうか。実際、マッキンゼー社の調査によると、従業員が行う仕事の45%は自動化することができるとされており、これは米国だけでも2兆ドルもの削減に相当するといいます。アトラシアンでも同様の知見を得ており、多くのJira管理者の方が、Jiraの自動化機能により、月6時間以上もの時間を削減できたという調査結果があります。
ちなみに、米国心理学会によると、特に多くの管理業務を抱えている場合に発生しがちなタスクの切り替えは、従業員の生産性を40%も低下させる可能性があると言います。
5. できる限り多くの部門から早い段階で同意を得る
マネージャーが何かしらの変更を告げる時、より多くのチームがその変更に対して前向きだと、よりスムーズにそのプロセスが進みます。移行の場合、プロセスの見直しや、チームが本当に必要とする機能の見極め、そして早めにトレーニングやテストを始めるために、組織全体にわたるチームの協力が必須です。
成功する移行案件には、組織全体に推進派(チャンピオン)がいて、それぞれのチームを巻き込み、前向きな状態を保つ働きをします。組織が大きいほど、移行の規模も拡大するため、これが重要になります。
6. アトラシアンが提供する無償のトレーニングリソース
手間がかかる業務をすべて担当者が一人で行う必要はないばかりか、すべきではありません。他社の状況に言及することはできませんが、少なくともアトラシアンでは「クラウド」が優先事項となっています。
クラウドが優先事項となっているのは、メリットやスピード、拡張性、セキュリティを始めとするあらゆる基準において、お客様が得られる利点が大きいためです。そして今後、クラウド化が一層進むことは、過去数年の調査からも明らかです。お客様にとってクラウドへの移行は、可能な限りスムーズであるべきです。
英語にはなりますが、アトラシアンのWebサイトに無償のトレーニングをご用意しています。エンタープライズのお客様には、追加で必要なリソースをご案内したり、急ぎの質問に回答できるよう、専任の担当が待機しています。
アトラシアンのクラウド移行については、クラウド移行センターをご覧ください。ここでは、無料のツールやリソース、サポートについてご確認いただけます。現在サーバー版やData Center版をお使いのお客様は、時間をかけて実際にクラウド版を体験・評価できる、クラウド移行トライアルを無料でご利用いただけます。