アトラシアン、リモートワークに関するグローバル調査レポートを発表ー諸外国と比較して日本のリモートワークの課題が浮き彫りに
チーム・コラボレーションと生産性向上を支援するソフトウェア企業のアトラシアン(NASDAQ: TEAM)は、日本を含む海外主要5ヶ国における最近のリモートワークについての調査レポート「働くを再創造する『どこでも働ける勤務形態』を考える(Reworking Work: Understanding The Rise of Work Anywhere)」(以下、「本レポート」)を発表いたしました。本調査は、新型コロナ感染拡大を受けてリモートワークを実施する企業が増える中、日本、オーストラリア、フランス、ドイツおよびアメリカの5か国において企業に勤めている5,000名以上を対象に実施、リモートワークに対する従業員の意識、自宅における働く環境、企業文化などについて諸外国と比較することによって、日本におけるリモートワークに関する課題が浮き彫りになりました。
本レポートによると、感染拡大以前にリモートワークをほとんど経験したことがなかったと回答した割合は、グローバル平均で43%であったのに対し、日本では51%でした。すなわち、日本企業の多くが、2020年4月に政府による緊急事態宣言発動を受けて本格的にリモートワークを導入しはじめたことが分かります。
また、日本の回答者のうち44%は、感染拡大という制約の中、自宅で効率的に仕事をすることは難しいと回答しており、グローバル平均の27%と比較して非常に高い結果になっています。同様に、日本の回答者のうち23%が、リモートワークにおいてチームでの作業が非効率になっていると回答しており、これもグローバル平均の13%を上回っています。さらに、日本においては、リモートワークの方がチーム・コラボレーションがうまく機能していると答えたのはわずか17%で、グローバルの40%と大きなギャップがあることが分かりました。
そして、従業員の企業に対する満足度を尋ねた質問では、日本の回答者は企業に対する満足度が極めて低いことが明らかになっています。具体的には、グローバルでは41%の回答者がリモートワークにおける企業のリーダーシップに満足していると回答しているのに対し、日本の回答結果は18%に留まっています。また、自分の企業が従業員に対して「正しい行い」をしていると回答したのは、グローバルでは43%、日本ではわずか19%ととても低い結果になっています。さらに、企業がリモートワークへの移行について十分に対応できているかとの質問に対しては、日本の回答者のうち48%がそうは思わないと答えており、グローバル平均の29%と比較して、より多くの従業員が企業の対応に不満を募らせていることが分かります。この結果は、伝統的な書類のやり取り、「ハンコ」による承認、FAXなどのアナログ作業により、リモートワークへの移行が阻害されていることへの不満が積み重なっていることなどが背後にあると考えられ、日本のリモートワークにおいてはコミュニケーションの向上のみならず、仕事のあり方を見直す必要があることが分かりました。
日本では企業文化として、オフィスでの滞在時間や長時間労働が評価される傾向があります。これに対して、リモートワークの導入をきっかけに、より効率性を重視するように変革に取り組む企業もありますが、本レポートによれば、このような変革は十分には進んでおらず、自宅での「シャドーワーク(隠れて仕事をすること)」や「サービス残業」などに置き換わってしまっているケースがあることが分かりました。例えば、日本の回答者には、「夜中まで作業をした上で、 翌朝に成果物を送る」などといった方法により、実際には自宅で長時間作業しているにもかかわらず、効率的に働いているように見せるために長時間労働を隠すように行動しているケースもあるようです。
さらに、日本の回答者の45%は、リモートワークの環境はオフィスに比べて物理的にふさわしくないと回答しており、グローバルの34%と比べて多くなっています。このことから本レポートでは、そもそも日本の住居が他国に比べてスペースの面においてもリモートワークに向いていない可能性もあると推察しています。
これらの結果から、パンデミックによる前例のないリモートワークは、日本においては前向きなものではないことが示されており、企業のリーダーシップ、ワークライフバランス、チーム・コラボレーションの有効性などの観点から、改善の余地があることが明らかになっています。
日本の回答者の56%は、オフィスまたは自宅のいずれかの勤務方法を選択できた方がよいと回答しており、これはグローバル平均の46%を上回る結果になっています。日本では、引き続きオフィスが重要な役割を果たすと考えられますが、日本の回答者はオフィスとリモートワークを組み合わせたハイブリット型の働き方を好む傾向にあります。
アトラシアンのワーク・フューチャリストのドミニク・プライスは次のように述べています。「従業員の働き方は、多様な方法へと転換しつつあります。働き方の多様性については様々な議論はありますが、一つの方法が正しく全ての場面に適用できるわけではありません。本調査は、国や文化によって今後の働き方、働き方に対する考え方がいかに異なるかを示すとともに、日本に関しては、リモートワークの導入をきっかけとし徐々に変革の動きはありますが、企業がハンコによる書類をベースとしたプロセスをどのように見直すか、また、自宅で仕事をするスペースの課題を抱える従業員を企業がどのように支援するかをさらに検討する必要があることを表しています。これらは、実際にリモートワークを経験した世界の中の従業員の声です。本レポートが企業の取り組む働き方の改善と向上に役立てばと考えています」。
アトラシアンでは、本調査に先立ち、チーム・コラボレーションを進化させ従業員それぞれの能力がより発揮できる新しい制度「TEAM Anywhere」を発表しました。この制度を通じて、すべての従業員が、自宅、オフィス、その他の生産性の高い場所を任意で組み合わせて働くことができる選択肢を提供しています。
本レポートの日本語の抄訳版はこちらから、 英語の全文はこちらからご覧いただけます。 また、 アトラシアンのチームプレイブックでも今回の調査に関するアトラシアンの見解やアトラシアン流のリモートワークを紹介しています。
アトラシアンについて
2002年豪州シドニーで創業。あらゆるチームの可能性を解き放つことを企業のミッションとし、チームによる作業の整理、議論、完遂を支援するコラボレーションソフトウェア開発を手掛けています。アトラシアンの顧客はゼネラルモーターズ、ウォールマートラボ、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ、リフト、スポティファイ、NASAなど17万1000社を超えています。顧客企業はプロジェクト管理、コンテンツ作成・共有やサービス管理ツールを利用することでチーム・コラボレーションを実現し、期限内に質の高いサービスや製品を提供することがきています。主要製品はソフトウェア開発チーム向けのオンプレミスおよびSaaSプロダクトで、Jira Software(プロジェクト管理)、Confluence(コラボレーション)、Trello(タスク管理)、Bitbucket(ソースコード管理)、Jira Service Desk(ITSM)などがあげられます。日本法人のアトラシアン株式会社は2013年の設立以来、日本語によるお問い合わせ対応や技術サポートの提供、マーケティングなどの業務を行っています。