Cloud 導入ガイド
導入および変更管理計画の構築と実行を成功に導くためのリソース
アトラシアンの導入と変更管理ガイド
このガイドでは、チームの働き方やコラボレーションの方法に永続的な変化をもたらすことができるように、Atlassian Cloud を組織全体に大規模に展開するためのベスト プラクティスとヒントをご紹介します。このガイドには、ビジョンの設定、コア チームの編成、成功指標の定義、経営幹部のスポンサーシップの確保、パワー ユーザー コミュニティの育成、コミュニケーション戦略の設計、効果的なトレーニングとサポートの構築を行う方法が記載されています。
変更管理が組織にとって重要な理由
アトラシアンのお客様は、組織全体のミッション クリティカルなビジネス プロセスを強化するためにアトラシアン製品を利用しています。デジタル変革を受け入れてアジャイルな働き方の採用を続ける中、多くの企業が既存のツールセットを Atlassian Cloud に移行することで、オーバーヘッドの削減およびインフラストラクチャ コストの再配分により IT の影響を高め、ユーザーの生産性を向上させ、セキュリティとコンプライアンスの組み込みにより安定性を実現しています。
クラウドの投資収益率を実現するには、サブスクリプションを購入するだけでは不十分です。チームが日常業務を強化するために Atlassian Cloud を積極的に使用する必要があります。クラウド イニシアチブの成功は、チームが新しいツールを採用し、受け入れるかにかかっています。
したがって、効果的な変更管理計画を立て、組織を長期的な成功に導く必要があります。関係者の賛同からユーザー トレーニングまで、適切に設計された変更管理計画は、アトラシアン製品の新規採用やオンプレミス製品からクラウドへのユーザーの移行、またはあらゆる変更イニシアチブの実施において大きな違いを生む可能性を秘めています。では、詳しく見ていきましょう。
永続的な変化には努力が必要
それはわかっているのですが、私たちは皆、少々変化疲れを感じています。新しいツールであろうと、従う必要のあるプロセスであろうと、何かが常に変化しているように感じます。チームに新しい変化を導入する計画を立てる際には、テクノロジーやソフトウェアの変更だけでなく、このことを考慮に入れることが重要です。変化によるあつれきを最小限に抑えるには、すべてのコンポーネントが同じ方向に動いていることが役に立ちます。つまり、変化を実現し、持続させるためには、人、プロセス、ツールがすべて調和して機能する必要があります。
永続的な変化 - 体系的で持続可能な真の変化 (いわゆる「永続的な導入」) には努力が必要です。皆さんは、製品が技術的な観点から機能するかどうかを確認することに多くの時間を費やしているかもしれませんが、導入するツールをチームが実際に使用している (そして楽しんで使用している) ことを確認することも同様に重要です。導入とは、単にサービスを提供すればよいだけではありません。大切なのは、長期的な成功に向けて組織が整い、チームがより効率的に働き、結果としてより良いビジネス成果が得られることです。
導入および変更管理プログラムを成功させるメリット
導入および変更管理プログラムを成功させることには多くのメリットがあります。ここでは上位 3 つをご紹介します。
1. 時間とコストの節約
包括的な移行計画の一部として導入と変更管理の計画を立て、慎重に展開することが、変化を持続可能なものにするのに役立ちます。確固とした計画がないと、チームが変化に適応しなければ、後でロールアウトをやり直さなければならないリスクがあります。
2. シャドー IT の削減
アトラシアン製品を戦略的に展開することで、チームは特定のアトラシアン製品を各部門のユース ケースでいつ、どのように使用すべきかを明確に理解できます。チームのテクノロジー ニーズが満たされ、適切なトレーニング資料にアクセスでき、改善を提案するフィードバック チャンネルがあれば、アトラシアン製品のインスタンスを購入してスピン アップしたり、IT 部門が承認したサービス以外でコラボレーションしたりする可能性は低くなります。つまり、シャドー IT に関連する技術、支払い、セキュリティ上の不満を回避できます。
ヒント: シャドー IT を可視化する必要がある場合は、Atlassian Guard または Cloud Enterprise のサブスクリプションで利用できる自動プロダクト ディスカバリーをご確認ください。自動プロダクト ディスカバリーにより、組織の管理者は、組織内に存在するユーザー作成の Atlassian Cloud インスタンスを検出し、これらの製品の管理者が誰で、何人のユーザーが参加しているかを確認できます。また、インスタンスの所有者に連絡して、製品とデータを組織の公式製品インスタンスに統合することもできます。
3. 生産性の向上
適切なトレーニング リソースとサポートを備えた変更管理計画を立てられるため、ユーザーは初日からすぐに使い始められます。ユーザーは、新しいログイン情報の確認やドキュメントの検索に時間を浪費する代わりに、主要なビジネス目標に集中できます。
導入の成功を妨げる一般的な障壁
メリットがそれほど大きければ、変化は有機的に起こると考えたくなるかもしれません。新製品の導入を成功させる上で一般的な障壁には、次のものがあります。
- 惰性や、変化に対する一般的な抵抗
- ビジネスの目標が IT の目標に統合されていない
- 主要リーダーからのスポンサーシップが不十分
- 混乱 (いつ何をするかわかっていない)
- ユーザーにメリットを伝えていない (自分にとってどんなメリットがあるのか?)
- 利用できるツールが多すぎて、どのツールをいつ使うべきかについての明確なガイドラインがない
上記のメリットを実現し、これらのよくある落とし穴を回避するには、変更管理計画が必要です。変更管理計画を立てると、チームは何が、どのように、なぜ、いつ変化するかを把握し、成功するために必要な知識、スキル、リソースを確保できます。このガイドの残りの部分では、変化に備え、チームを長期的な成功に導くために推奨される手順を説明します。
ヒント: デジタル変革を計画し、このガイドで説明する変更管理戦略を適用することを支援するために、変更管理計画テンプレートを使用することをお勧めします。このテンプレートは、クラウド移行の計画と実行のプロセスを、段階を追って実行できるようにすると同時に、関連するすべての関係者に情報を伝え、関与してもらえるよう設計されています。このテンプレートを活用し、ベスト プラクティスに従うことで、クラウドへの円滑な移行を確実にし、アトラシアンへの投資のメリットを最大化できます。
ステップ 6: トレーニングとサポート計画を立てる
ユースケースを特定し、各ユースケースでチームに利用してもらう製品を把握できたので、次は、チームに対してツールの使用方法をどのようにトレーニングするかを決定します。ユーザーのトレーニングだけでなく、IT 部門によるツールのサポート方法のトレーニングについても忘れずに検討してください。
学習し、情報を吸収する方法は人によって異なることを念頭に置いてください。新しい情報を文章で学ぶことを好む人もいれば、映像を好む人も、音声で聞くことを好む人もいます。よくある質問を作成する場合は、ユーザーが経験すると想定される変化について、テキストだけでなく、スクリーンショットや gif、動画でも説明するようにしてください。
ほとんどのユーザーが製品内で最も多く行う作業は、Jira の課題や Confluence ページの作成と編集です。そのため、このようなよく行われる作業の変更点を重点的に説明することをお勧めします。Jira Software、Confluence、Jira Service Management の製品概要を参照するようユーザーを誘導すれば、ユーザーはこれらの製品のオンプレミス版とクラウド版の違いをすばやく把握できます。
最初のトレーニングを終えたチームには、疑問が残り、引き続きサポートを必要とすることが考えられます。ユーザーがサポートを受けたり、質問をすることのできる、Teams や Slack チャンネルを作ることを検討してください。この場合、推進者コミュニティを利用すると、IT サポート チームによるチャンネルの監視を手助けしてくれるので便利です。
ヒント: トレーニング プログラムの準備には時間がかかり、どのような内容を取り扱えばよいのか迷うかもしれません。弊社が用意したこちらのガイドを参考にしてください。このガイドには、導入の開始前に説明しておくべき重要な変更点や、ユーザーからよく質問が出るトピックが記載されています。
1. 変更 = 人 + プロセス + ツール
中心となるのは人です。多くの場合、プロセスやツールのみを重視し、人の要素を無視すると、変更の取り組みは失敗します。この変更がチームに与える影響や、役割、年功、または部門に及ぼす影響の違いを考慮することが重要です。各チーム メンバーに「自分にとってどんなメリットがあるのか」を明確に伝えるようにします。すべての従業員は情報を提供されて、この変更によって日常業務がどのように改善するかを理解する必要があります。
2. 導入は瞬間的なプロセスではなく、継続的なプロセス
変更を通知するメールを送信したら、作業が始まります。従業員が変更を承認し、受け入れ、適応するには時間がかかります。コミュニケーション計画を策定する際は、変更が行き渡るまでに複数回のコミュニケーションが必要になる場合があるという点を考慮しましょう。また、デプロイするテクノロジーも時間とともに変化します。ユーザーに常に最新情報を通知するようにしてください。
ヒント: IT または仕事の進め方に関するニュースレター、イントラネット、Slack/MS Teams チャンネルなどの方法がすでにある場合は、毎月のヒントやコツ、新機能のハイライト、トレーニングの機会などを含めることを検討しましょう。
3. ユーザーがいる場所でつながる
現在のワークフローに新製品を組み込む方法をユーザーに示し、置き換えられるもの (プロセスやテクノロジー) を明確に説明します。対象となる使用例やコミュニケーション計画を策定する際には、この点を必ず考慮します。既存のワークフローに新しいツールやプロセスを接続することで、チームは変更がそれほど困難ではないと思えます。最も重要なのは、プロセス全体を通して共感を示すことです。
ヒント: Jira Software などの新しいアトラシアン ツールが、Slack などのチームの既存のツールやシステムと統合する方法を紹介することで、変更はそれほど大きくないように思え、チームは新しいツールが日々のワークフローにどのように組み込まれ、強化されるかをより詳細に理解できるようになります。統合の詳細についてはこちらをご覧ください。
4. 経営トップの方向性を示す
ロールアウトの計画時に、変更を支持する上級管理職やリーダーに参加してもらうと、その変更が組織的により広く受け入れられるようになります。正式なエグゼクティブ スポンサーに加えて、変更をさらに支援する複数のシニア リーダーを追加することを検討しましょう。シニア リーダーが参加して支援するという通知を各部門に転送するだけで済み、簡単です。また、特にシニア リーダー向けのトレーニング セッションを開催することをお勧めします。それにより、シニア リーダーはチームへの影響を確認できます。
5. 推進者コミュニティを早期に構築する
推進者コミュニティを早期に構築すると、推進者の熱意と専門知識を活用して、組織での導入を早め、ロールアウトを加速できます。その方法の 1 つとして、推進者への早期試験または予告を開始し、まず推進者にチームに参加してもらいます。それにより、うまく機能することや、より広範囲に展開するために調整する必要があることを把握できます。
6. 楽しく実行する
適宜、楽しく実行してみましょう。変更や新しいツールでチームを活気づけます。導入にゲーム感覚で取り組むアイデアをご紹介します。
- 使用に関する部門間での競争
- 最もクリエイティブな使用事例を募集する
- 使用事例/成功を月刊ニュースレターで特集する
7. 説明するより見せるほうがうまくいく
新しいユーザーのオンボーディングでは、説明するよりも見せるほうが常にうまくいきます。トレーニング計画を立てる際は、マス コミュニケーションにとどまらない方法を検討し、新しいツールの価値の実証を始めましょう。次のような項目を考慮します。
- ランチを主催し、ユーザーが製品を実際に体験するためのトレーニング セッションで学ぶ。
- 特定の使用事例についてユーザーをトレーニングするための、部門別のトレーニング セッションを検討する (推進者が運用すれば、なお良いでしょう)。
- これらのセッションを録画し、新入社員が今後見直したり、入社時に再利用したりできるようにする。
8. フィードバック ループが重要
ロールアウト計画中に、フィードバック収集プロセス (推進者、Slack/MS Teams チャンネル、アンケート、サービス デスク チケットなど) のフィードバック ループを必ず定義することを忘れないでください。適切なフィードバック ループによって、ユーザーとの距離を縮め、必要に応じて方針を修正でき、さらに、ツールの使用方法や結果として達成したビジネス成果についてのインサイトも得られます。