Jira Service Management で優れたフォームを構築
概要
フォームによって、リクエストを起票したり既存の課題に情報を追加したりする際に、一貫した方法で情報を収集できます。
フォームはさまざまな方法で構成できますが、すべてのフォームには次の 2 つのコンポーネントがあります。
1. 固定されたコンテンツ: フォーム作成者はユーザーが変更できない情報を提供します。これには、質問への回答方法に関する指示やガイダンスを含められます。
2. フィールド: ユーザーが回答を入力する空白のスペースまたは選択式の質問。
ユーザーがフォームを完了して送信すると、フォームはドキュメント (正式なリクエスト、注文、明細書、手紙、契約書など) になります。
このガイドは、顧客向けポータルとリクエスト タイプの構築を担当する Jira Service Management ユーザーを対象としています。新しいフォーム ビルダーによって動的フォームを作成して、エージェントが迅速なサービス管理を大規模に提供するために必要な情報を収集できます。
Jira の新しいコード不要/省コードのフォーム ビルダーによって、カスタマー ポータル用のフォームを簡単に構築できます。このガイドでは、より少数のカスタム フィールドで効果的なフォームを作成する方法と、エージェントと顧客間のやり取りを減らす方法についてご説明します。
フォーム デザインが重要な理由
フォームは本質的に人目を引くものではありませんが、適切に設計されていれば、リソースを節約して関係を改善し、ユーザーのアクションに影響を与えられます。
最適化されたフォームによりデータ品質が向上
フォーム デザインに関する決定によって、受信するデータの品質が決まります。
データの向上によって、次のことが可能になります。
- より優れたサービスをより迅速に提供する
- プロセスを改良する
- 収益を上げる
- コンプライアンスを強化する
フォームは関係の基盤です
ほとんどのビジネス プロセスはフォームから始まります。つまり多くの場合、良い第一印象を与えるにはフォームが最適な機会になります。
フォーム デザインが不十分な場合は、顧客が主要なプロセスを延期、回避、または放棄することさえあります。一方、使いやすいフォームによって摩擦を減らして信頼関係を築き、適切な期待値を設定できます。
送信されるのは適切に設計されたフォーム
フォームを短くすると、完了率が高くなることが証明されています。
後のセクションで説明するように、フォームは長さだけでなくデザイン方針も重要です。これは、ユーザーがフォームに入力して送信する可能性に影響します。フォームを使用して可能な限り正確な情報を取得することが目標の場合は、目標を実現するにはデザインが不可欠です。
Jira Service Management で使いやすいフォームを作成する
フォームをデザインする目的は、ユーザーがフォームをすばやく簡単に読み取れるようにしつつ、正確な情報を提供することです。このセクションでは、優れたフォーム エクスペリエンスを構築するための主要な方針 3 つに焦点を当てます。
- ミニマリズム
- 論理構造
- 完了までの明確な行程
方針 1 – ミニマリズム
フォームには「少ない方が豊かである」が当てはまります。私たちの脳は認知的過負荷にさらされており、一度に大量の情報が入ってくるとうまく処理できない可能性があります。私たちには RAM はありません。フォームをシンプルに整理しておくと、顧客は簡単にフォームに記入できます。
質問を最小限にとどめる
確認する必要のある事項のみを質問します。質問すべきかどうか確信が持てない場合は、次のことを自問します。
- この情報はどのように使用されるか?
- お客様が必要とする、または希望するものを提供するために、この情報は必要か?
- この情報を別の場所に保持していないか?
- 条件付きロジックを使用して、この質問が適切な人にのみ表示されるようにできるか?
シンプルな言葉を使用する
質問のラベルと説明は、顧客が理解できる言葉で簡潔に説明します。たとえば、一般のユーザーには技術用語を使用しないようにします。
過剰なデザインを避ける
適切に使用すれば色やアイコンなどの視覚的な追加要素は役立ちますが、多すぎると混乱を招く可能性があります。重要な項目を目立たせるために色を使用しますが、すべてが色付けされていると何も目立たなくなります。ブランディング以外は、ユーザーにわかりやすいように画像のみを含めます。赤色のテキストはエラー メッセージと検証メッセージ用に残しておきます。
任意の質問は任意に
すべての質問に「*必須」と記された長いフォームほど面倒なものはありません。任意のフォーム フィールド (あると便利だけど必須ではないデータ) を含める必要がある場合は、それらのフィールドが必須ではないことを確認します。
方針 2 - 論理構造
フォームに含める内容が決まったら、次はフォームを準備します。フォームをデータベースに情報を取り込む手段ではなく、会話の 1 つの側面と考えてみてください。すばらしい会話の流れを構築すると、フォームはより使いやすいものになります。
質問をセクションにグループ化する
ユーザーに質問内容を理解しやすくするために、質問を確認してセクションにグループ化します。各セクションに目を通して、質問の流れや質問が論理的な順序でグループ化されていることを確認します。
冒頭のテキストを最小限にとどめる
ユーザーが大きなテキスト ブロックをほとんど読まないため、各質問に回答して各セクションを完了するために知っておく必要がある内容のみを共有します。セクション レベルの指示とフィールド レベルのヒントを使用して、タイムリーなガイダンスを提供しましょう。
このルールには重要な例外が 1 つあります。必要な内容や資格基準の有無を、ユーザーに前もって知らせることが適切です。多くの場合、適切に設計されたフォームには、この目的のために最初に「ゲートウェイ」ページや指示セクションが含まれています。
単一列レイアウトを選択する
Jira Service Management のフォーム設計の柔軟性によって、単一/複数列のレイアウトを作成できます。横並びの列でスペースを節約しようとするのは魅力的ですが、研究者は複数列のフォームはユーザーに誤解されやすいことを発見しました。
新しいフォームを同僚とテストして、顧客やユーザーがレイアウトをどのように受け止めるかを把握します。
方針 3 - 完了までの明確な行程を提供する
各フォームの最後まで到達する方法をユーザーにわかりやすく示すには、次の戦略を参考にすると完了までの明確な行程を説明できます。
一貫したスタイルを用いる
チームが種々雑多なフォームを公開している場合は、フォームの形式、質問のグループ化、全体的な構造に関して一貫したスタイルを採用します。これによってフォームが親しみやすいものになり、ユーザーは気後れしなくなります。
前もって通知する
ユーザーが思い浮かばないような情報を必要とする場合は、ユーザーに事前に知らせます。ユーザーにとって、必要な情報を調べるためにフォームを進行中のままにしておくことは面倒です。また、これはユーザーがこのプロセスを完全に放棄する絶好の機会にもなってしまいます。
ざっと目を通しやすい構成にする
また、セクション タイトルの頭文字を大文字にすることで、ユーザーは質問される内容も把握できるようになります。セクション タイトルに色を使用することもお勧めします。セクション タイトルに注目することで、ユーザーはざっと目を通しやすくなって予想される質問を把握できます。
垂直に配置する
グリッドに収める必要がある情報 (予算など) を要求する場合やスペースが限定されている場合を除いて、入力フィールドは垂直な直線に配置します。こうすることで、フォームの最後まで目を通すのが容易になります。完了までの行程は文字通り道のようなものなので、まっすぐであれば進む方向を確認できます。
完了までの全行程を示せない場合でも (条件付きセクションを使用している場合など)、少なくともその時点のステップの最後をユーザーに表示するようにフォームをデザインします。
適切な質問方法
適切な質問タイプを含む適切な質問をすることによって、ユーザーは適切なデータを共有できます。質問と指示が適切に設計されていると、求められている回答やその提供方法をユーザーが把握できるため、ユーザーの不満を最小限に抑えられます。
使用するフィールド タイプ、提供するコンテキスト、質問の表現方法、含める検証の度合いの選択は、ユーザー エクスペリエンスに直接の影響を与えます。フォーム内の各質問を検討する際は、入手したいデータを検討してユーザーの視点を考慮します。
質問タイプ
一般的に、質問には自由回答形式と選択式の 2 種類があります。
自由回答形式の質問 (テキスト フィールド) では、ユーザーは伝えたい内容を入力できます。
ユーザーが話したいことを発言する機会を持てる
ユーザーにとって記入する作業が増える
選択式の質問 (チェックボックス、コンボ ボックス、ピッカー、ラジオ ボタン、選択リスト) では、ユーザーは提供されたオプションから回答を選択できます。
ユーザーにとって容易に解釈して記入できるようになる
簡単に集計してレポート作成できる
ユーザーが選択しようとしている回答がリストにない可能性がある
自由回答形式と選択式の各質問で適切なバランスを取る方法は、フォームの目的によって異なります。フォームに自由回答形式の質問を 1 つ以上含めることを検討します。この形式の質問には、フォームを開始する際の概要の質問や、最後にあるオプションの「コメント」フィールドがあります。
自由回答形式の質問
Jira Service Management には、次の 6 つの自由回答形式の質問のタイプが用意されています。
- 短いテキスト
- 長いテキスト
- 段落
- E メール
- URL
- 数値
自由回答形式の質問は整然としたレポートにはなりませんが、ユーザーはディスラプション、イノベーション、継続的な改善につながる情報を提供できます。
自由回答形式の質問のフィールドを適切に整理
Jira Service Management では、ユーザーがデータを入力して送信する方法を制御できます。適切なフィールド タイプ、書式設定、検証を用いることで、使用できるデータを確実に取得しながらユーザーは必要とする柔軟性を維持できます。
フィールドのサイズとタイプ
テキスト フィールドは万能ではありません。テキスト フィールドのサイズを選択する際には、フィールドのサイズがユーザーに入力してもらうテキストの量に比例する必要があることをご留意ください。
さまざまなサイズ (単一行、複数行/段落) のほかに、数値、メール、URL などの各フィールドもあります。これらのフィールドはバックグラウンドで書式設定されて検証され、ユーザーが特定の種類の情報のみを入力できるようにします。
正しいフィールド タイプを用いると、後で他の機能に使用できるデータが改善されます (数値の質問で計算を実行、メール アドレスのスプレッドシートをエクスポートして連絡先リストを作成など)。
検証
単語/文字の制限や数値フィールドの値制限など、検証ルールをデプロイすると明確なデータが保証されるだけでなく、チームがビジネス ルールをフォームに組み込めます。
質問自体またはヘルプ テキストで制限事項についてユーザーに知らせることで、ユーザーの時間を節約して不満を低減できます。
Jira Service Management で利用できるフィールド レベルの検証では、インライン検証をセットアップして、リクエストしている情報をまだ提供していないユーザーに直ちに通知できます。これによって、ユーザーが送信ボタンを押したけれども情報が不足していると表示された際に、間違っていた箇所について疑問を覚えなくなります。
パターン マッチング
正規表現の機能を使用して、独自のテキスト フィールド タイプを作成できます。正規表現によって、ユーザーの入力が一致する必要があるテキスト パターンを作成できます。
これらの表現は単純でも複雑でもよく、適切に書式設定されたデータを収集するのに最適な方法です。多くの場合、正規表現パターンは次の項目の収集に使用されます。
- 口座番号
- 電話番号
- IP アドレス
- 貨幣額
- ISO 標準への言及
- シリアル番号
フィールドで許可されるパターンをユーザーに必ず伝えましょう。フィールド説明プロパティを使用して、指示と例を提供します。
選択式の質問と条件付きロジック
構造化データを提供する選択式の質問は、自動化や条件付きロジックのトリガーに最適です。あらかじめ決められた一連のオプションから選択することは、考えられる答えを想像することも入力する時間を費やすことも不要なため、ユーザーにとってもすばやく行えます。
Jira Service Management では、次の 9 つの質問タイプを提供します。
- ラジオ ボタン
- チェックボックス
- ドロップダウン
- 複数選択ドロップダウン
- 日付
- 日時
- 所要時間
- 単一ユーザー
- 複数ユーザー
選択式の質問の使用方法
選択式の質問に使用するフィールド タイプは、次の項目に基づいて決定する必要があります。
- 1 つのオプションのみ (ラジオ ボタン、ドロップダウン、単一選択リスト) か複数のオプション (チェックボックス、複数選択リスト) か、ユーザーにどちらを選択させるかを考慮します。
- フォーム/画面上のレイアウトと利用可能なスペース。ラジオ ボタンとチェックボックスではすべての選択肢を一度に表示できるため、ユーザーは最も速く選択できます。余計なクリックは不要です。ただし、オプション リストが長すぎる場合は、ドロップダウン ボックスによって画面のスペースを節約できます。
選択式の質問ではユーザーはすでに制限されているため、フィールド タイプを選択する際は最も制限の少ないオプションを使用することをお勧めします。ラジオ ボタン、単一選択リスト、ドロップダウン ボックスでは、ユーザーは 1 つのオプションしか選択できません。ユーザーが複数のオプションを選択する可能性がある場合は、チェックボックスまたは複数選択リストを使用します。
選択式の質問を作成する際の考慮事項
選択肢によって、すべてのユーザーが誠実で完全な回答を提供できる機会を提供する
選択式の質問の制限は、回答が限定されていることです。これはフォームの所有者には役に立ちますが、ユーザーは不満に思うことがあります。ユーザーが選択したい回答がリストになかったらどうでしょうか。Jira Service Management のフォームによって、選択肢リストに隣接するテキスト フィールドと持つ「その他」オプションを含められます。質問の表現に応じて「わからない」や「該当しない」などの選択肢を提供するのが適切な場合があります。
ダブルバレル質問 (二連発質問) を避ける
フォームの目的は構造化データを取得することなので、質問ごとに 1 つの回答を求めることが重要です。これは特に選択式の質問に当てはまります。そうでない場合は、回答者の意図をくみ取れずに簡単に分類できる回答の寄せ集めになってしまいます。「私が話したエージェントは親しみやすく、知識が豊富でした」などの意見に関して、同意/不同意を問う顧客の満足度調査は的外れです。話をしたエージェントが無礼だったけれど知識は豊富だったとしたらどうでしょう?
評価尺度を構成する
多くの場合、選択式の質問はユーザーの意見や満足度を測定するための評価尺度 (強くそう思う > まったくそう思わない) として体裁を整えられています。選択肢の数を偶数にするか奇数にするか、慎重に検討します。奇数の選択肢ではユーザーは中立の回答を選択する機会を与えられますが、偶数のオプションではユーザーは意見を選択せざるを得ません。尺度の各ポイントにラベルを付けて、数字の意味を言葉で明確に説明します。尺度は大きすぎず、尺度上の各ポイント間の増分は同等である必要があります。
評価尺度を「最低」から「最高」またはその逆で選択できます。フォーム全体で一貫性を保つことが重要です。
ユーザーを圧倒しない
ユーザーに表示される選択肢の数が多いほど、質問の複雑さが増します。複雑になると、ユーザーが質問をスキップしたりフォームの入力に時間がかかったりすることがあります。選択肢の回答は意味をなすもののみに限定しましょう。
選択アーキテクチャ
適切な選択式の質問を作成するには、求めている内容以外にもいくつかの事項を考慮する必要があります。質問の組み立て方はユーザーの反応に影響を与えます。これは選択アーキテクチャと呼ばれます。選択アーキテクチャを使用して回答を形成したり影響を制限したりすると、より「純粋な」回答を取得できます。
既定値の影響
既定の回答は、質問内に事前に入力された回答の選択肢です。
既定の回答によってユーザーの時間は節約されますが、あなたが既定値として選択する選択肢も選択するようにユーザーに促します。ユーザーは、既定値が推奨されているか、最も一般的な選択肢であると認識する可能性があります。これによって既定の回答に偏りが生じて、フォームによって取り込まれたデータ全体が歪む可能性があります。
条件付きロジック
選択式の質問によって条件付きロジックを使用して、前の質問に対するユーザーの回答に基づいてフォームの質問を動的に表示/非表示できます。これによって、次が可能になります。
- ユーザーの認知的過負荷を軽減する – フォームが乱雑にならず圧倒されなくなります。
- ユーザーの入力完了までの行程を短縮する – ユーザーには自分に関係のあるフォームの部分のみが表示されます。記入が必要な箇所について戸惑わなくなります。
- 類似した複数のユース ケースに 1 つのフォームを使用する。
- 極端な例に対応する。
例を見てみましょう
人事部門が Jira Service Management を使用して、人事アクション通知を管理しています。
フォームが最初に読み込まれる際には、次のような外観です。
変更が必要な項目に応じて、その他の質問が表示されます。
条件付きロジックは、フォーム (特に Jira Service Management ポータルの顧客対応フォーム) をより使いやすくするために実行できる最も優れた機能の 1 つです。
概要
次のフォームを作成する際は、次の点にご留意ください。
- フォームはワークフローとプロセスの重要な部分です。適切に設計されたフォームによって、顧客にすばらしい第一印象を与えつつ、データ品質を向上させてチームの業務効率を高められます。
- フォームで質問の数を減らして用いる言葉を簡素化して論理構造に従うことで、ユーザーが質問に回答する方法を理解しやすくなります。ユーザーが質問に回答して完了までの明確な行程を確認することが簡単になれば、提出率が向上してより優れたデータを取得できます。
- 正しい質問タイプによって状況を一変させられます。自由回答形式の質問と選択式の質問のタイプを検討して、必要な回答をユーザーが簡単に提供できるようにしましょう。
- 条件付きロジックによってユーザー エクスペリエンスが向上して、適切な質問を適切なタイミングでユーザーに示せるようになります。
- フォームを作成する際はユーザーを念頭に置いて、ユーザーにとってフォーム エクスペリエンスが有益でやりがいのあるものになるように取り組みます。
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