IT サポート ワークフローを改善する方法
ナレッジはあらゆるサービス デスク機能の中心に位置しています。エージェントはナレッジによって、問題に対応して管理するシステムについて学びます。ナレッジは、当社が顧客に修正について説明する際に、顧客に提供するものです。そして、ナレッジ センター サービス (KCS) を採用する前は、このような修正の最前線にいるエージェントとカスタマー サービス担当者の頭の中だけに存在していたものです。
1992 年に、専門家がナレッジ ベースの作成と保守をカスタマー サービス プロセスに構築するための議論を開始すると、すべてが変化しました。そして現在、ナレッジ センター サービス (KCS) は一般的になっており、成功を収めている大企業の多くが、長年にわたってテスト、開発、改善してきました。
ナレッジ センター サポート (KCS) とは何でしょうか?
ナレッジ センター サービス (ナレッジ センター サポート、または KCS とも呼ばれる) では、サポート チームが顧客やシステム、従業員に対するリアルタイム サポートを提供するだけでなく、同じプロセスの一環としてドキュメントの作成と管理も行います。
日常的な使用例はどのようなものでしょうか。これは、適用している ITSM プラクティスによって少し異なります。
サービス リクエスト管理の場合、エージェントは課題を扱うたびに、まずナレッジ ベースを参照して修正方法が既に記録されていないか確認します。記録されている場合は、記事に記載されている手順に従います。いずれかの手順が変更された、または現在のドキュメントが分かりにくい場合は、記載を更新します。そのようなドキュメントが存在しない場合は、エージェントは適切なプロセスを経て課題をトラブルシュートして解決するとともに、新しいナレッジ ベース記事を作成して課題と修正の内容を記載します。
KCS は問題管理によく似ています。チームは問題を認識すると、関連するインシデントと根本的な問題を解決するために使用するプロセスを文書化します。
簡単に言えば、KCS は、IT チームの詳細なナレッジを自分の頭からページ上に移して、従業員、システム ユーザー、新任のまたは経験の乏しいエンジニアが同じリクエストでサービス デスクを忙殺することなく、使用できる詳細なドキュメントを作成することです。つまり、ナレッジをビジネス資産として扱い、問題を迅速に解決するために記憶と経験に完全に依存しないようにします。
ナレッジ センター サービス、それともナレッジ センター サポート?
最近まで、このアプローチを指す最も一般的な用語は、ナレッジ センター サポートでした。プロセスが開始される場であるため、「サポート」という言葉に重点が置かれていました。カスタマー サポートを通じて、ナレッジの取得、更新、維持が行われていました。
現在、より一般的な用語は、ナレッジ センター サービスです。「サービス」という言葉は、単なるサポート プラクティスから ITSM のあらゆる側面を改善できるプロセスへと KCS の重点を広げるために採用されています。
サービス リクエストは、引き続き KCS の機能が最も明確に開始される場所です。しかし、KCS は、変更管理を含む他の ITSM プロセスでも用いられています。変更計画では、協調的で詳細な言及を含む記録保持プロセスの恩恵を受けられます。インシデント管理では、KCS は停止に迅速に対処する能力を向上させられます。また問題管理では、既知の課題を文書化してその再発を防止するために使用されます。
KCS の利点
では、キャリア志向でコスト意識の高い IT プロフェッショナルにとって、既にいっぱいになっている優先度リストにナレッジ マネジメントを追加する必要があるのはなぜでしょうか。それは、メリットがコストをはるかに上回るからです。
Atlassian Summit で、ITSM の専門家である John Custy は KCS を採用する根拠となる、非常に強力な数字を挙げました。実際、KCS を採用している平均的なチームは、以下のような成果を上げています。
- 30 ~ 50%: 初回解決率の増加
- 70%: 新人アナリストが習熟に要する時間の縮減
- 20 ~ 35%: 社員の職残存率の向上
- 20 ~ 40%: 社員の満足度の向上
- 10%: 報告された問題/サポート リクエストの減少
KCS を採用した組織の 50 ~ 60% では、解決に要する時間も短縮されています。主要なパフォーマンス統計から数秒を削減できることを常に期待するような IT の世界で、このような成果を得る手段を見過ごすわけにはいきません。
なぜ、これほど大きな成果が得られるのでしょうか。当社の経験から、かなり多くの理由が挙げられます。
ゼロからの問題解決を削減することによる時間の節約
ソリューションがより適切に文書化されて最新のものであるほど、サービス デスク エージェントやエンド ユーザーなど、だれでもよりシンプルかつ迅速に実装できます。これは、一般的な課題のより迅速な解決と複雑な問題へのより迅速な対応につながります (サービス チームが小規模で冗長な修正に悩まされなくなるため)。
KCS の採用には、エージェントが各修正を文書化する必要があるため、事前の作業に時間がかかります。しかし、記事を書くのにかかる時間は、今後のエージェントとエンド ユーザーが修正に関する手軽なステップ バイ ステップ ガイドを参照できることによって節約できる時間に比べると、物の数ではありません。これは、チーム メンバーのオンボーディング中またはトレーニング中である場合、作業負荷が増えた場合、誰もはっきり覚えておらず、その解決策がこれまでの過程で忘れ去られた可能性がある課題に遭遇した場合には特に当てはまります。
カスタマー エクスペリエンスの一貫性の向上による関係者の満足度の改善
回答と修正を一元化することで、カスタマー エクスペリエンスの一貫性も向上します。すべてのエージェントが同じプレイブックと同じプロセスを使用している場合、顧客 (社内外を問わない) は、どのカスタマー サービス チャネルを選択しても、どの IT プロフェッショナルに対応されても、より一貫したエクスペリエンスを得られます。
一貫性はなぜそのように重要なのでしょうか。顧客が、迅速な修正、予測可能で好ましいエクスペリエンス、頼りがいがあり自信に溢れた知識豊富な従業員を求めていることは明らかです。そして、顧客の満足は、ビジネス全体により良好な収益をもたらします。
KCS による継続的な改善
IT サービス エコシステム全体の一貫性のもう 1 つの利点は、サポート プロセスとシステム自体の両方において、繰り返し発生する課題や重要な領域を特定しやすくなることです。最も多くのレビューを受けるドキュメント、最も多くの手順を持つ修正内容、各修正に対する顧客満足度を追跡することにより、組織は単純な修正だけでなく、一般的な課題に対する製品のアップグレードやより良い解決策の機会を特定できます。
優れたドキュメントによる真のセルフ サービスの実現
多くの顧客は、他のサービス チャネルよりも、セルフサービスとナレッジ ベースを使用できる機能を好みます。簡単に言えば、優れたセルフサービスこそ、顧客が望むものです。
セルフ サービスにより、サービス デスクのコストを大幅に削減できます。このようにコストを削減できるセルフ サービスは、サービス プラクティスに優れた最新のドキュメントを構築する KCS のようなアプローチでのみ実現できます。
KCS の課題
多くの人は、ナレッジ センター サービスの価値を認めています。このサービスが適切に機能すると、時間の節約、利益、そしてチームの満足度が大きく向上します。
そのため、KCS の課題は、そのプラクティス自体への異議ではありません。そうではなく、チームは、専門家である David Kay が「緊急性と戦術へのこだわり」と呼ぶものから抜け出すことを難しくしている、文化的な試練に直面することが多いのです。
彼が言いたいのは、IT 管理者は現在のプロセス (効果がない可能性あり) を使用してその場しのぎの仕事をするのに忙しすぎて、もっと戦略的な何かに集中して取り組めないということです。結局のところ、コンテンツの作成は難しく、時間がかかるようにも思えます。特に、すでにリクエストに悩まされており、大量の SLA の約束や SLO の目標の達成に苦労しているチームにとっては、そのように思われます。報酬は、多くの場合、その場しのぎのマインドセットに直接結びついているパフォーマンス目標に直接結びついていることは、言うまでもありません。
実際にはコンテンツの作成と KCS の新しいプロセスの採用は、それほど時間のかかるものではありません。どちらも 1 日目から段階的に行えます。実際、Jira Service Management のようなシステムでは、サポート チケット内で記事を直接作成できます。
ここでの最大の障害は、文化的な転換です。チーム レベルだけでなく、パフォーマンス目標や報酬などの事項が決定される組織レベルでもそのような転換が必要です。
KCS はどのように機能しますか?
ナレッジセンター サービスは、ナレッジの入手、構造化、再利用からなるループを繰り返し実行します。エンジニアは積極的に関係者をサポートしていますが、KCS は IT チームに以下のことを要求しています。
- 課題の解決方法を記録するコンテンツの作成
- 需要や使用事例をもとにしたコンテンツの更新と展開
- コンテンツをナレッジ ベースで公開して、簡単に利用できるようにする (受け取るチケットを減らして、サービス デスクにかかる時間とコストを削減する)
- ナレッジの学習、共同、共有、改善による相互のメリット享受
これは、チームの既存のサポート プロセスに組み込まれた 5 つのステップのプロセスを通じて行われます。
ステップ 1: ナレッジの入手
顧客からのリクエストが入ると、課題解決プロセスの副産物として記事が作成されて更新されます。これは、エージェントが内部のリストや優先順位ではなく実際の顧客のコンテキストに基づいて記事を書くことにより、情報が実際の課題との関連性が高くなって検索しやすくなることを意味します。
ステップ 2: ナレッジの構造化
顧客やエンド ユーザーにとって使いやすい記事を書く一番の方法は、テンプレートまたはフォームを使用することです。これによりプロセスが簡素化されて、ビジネスのナレッジ ベースを使用したカスタマー エクスペリエンスの一貫性が得られます。
ステップ 3: ナレッジの再利用
新しい課題が発生すると、エージェントは常に最初にナレッジ ベースを検索する必要があります。それによって、インシデントを関連の記事にリンクさせられ、チームが共有のナレッジを利用して作業する態勢が確立します。
ステップ 4: ナレッジの改善
ナレッジ ベースが構築されるにつれ、エージェントによるゼロからのコンテンツ作成の負担が減り、既存の記事の更新が多くなります。つまり、ナレッジ ベースが最新の状態になり、常に有用性が保たれる状態になります。
このアプローチでは、コンテンツを最新の状態に保つだけでなく、ナレッジ ベースの更新を 1 人で担当してその人の To Do リストの独立したタスクとして処理するのではなく、チーム全体で責任を共有します。
ステップ 5: ナレッジを使った全体像の把握
ナレッジ ベースが拡充するにつれ、チームは、各記事の問題の解決に関する有効性についてより多くのデータを蓄積するため、プロセスを強化して、需要の高いコスト削減につながるナレッジにより多くのリソースを投入できるようになります。プロセスとナレッジ ベース自体は、何が上手くいっていて何が上手くいっていないのか、チーム全体でナレッジに差がある可能性がある領域はどこか、将来の記事をより効果的にするために必要な調整が必要かを特定するための便利なツールです。
ナレッジセンター サービス デスクを活用すれば、チームによる課題への迅速な対応と解決、一貫した回答の提供、セルフ サービスが可能になります。ナレッジ マネジメントが他のサービス管理プラクティスをサポートできる方法についてご興味をお持ちでしたら、ナレッジ マネジメント ガイドをご覧いただくか、Jira Service Management を無料でお試しください。
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